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執筆者の写真SML

1チップモータコントローラMCP8063評価

MCP8063概要

 MCP8063はMicrochip社のモータコントローラICです。単相の小型ファンモータでは1チップタイプが普通になっていますが最近は3相モータの領域で、1チップ化製品が出て来ました。1チップ化は、従来外付けのPowerMOSFETを内蔵する事に拠っている関係で出力電流は少なめです。MCP8063では1.6Aです。

 このコントローラはセンサレスでかつ、正弦波駆動となっています。従来のセンサレスは誘起電圧を検出する関係で、矩形波120度通電と言う方式であった事を考えると飛躍的な進歩と言えます。センサレスかつ正弦波駆動となれば現時点ではベクトル制御しか無かった訳ですが、説明を読むとMicroship社独自のアルゴリズムとなっていました。  パッケージは8-VDFNと言うタイプで、外観写真を右に示します。このICは車載用のAEC_Q100認定を取得しています。Digi-Key価格で1個200円、3,300個で126円で従来のドライブMOSFETのゲート出力端子しか無いコントローラに匹敵する価格です。モータとして組み上げた場合の部品点数も非常に少なくなっています。


評価ボード

 この製品にはADM00575と言う、評価ボード(Windows上のGUIソフトも用意されている)のキットがあり、製品同様にDigi-Keyで6,719円で購入出来ます。この評価キットの外観を下記に示します。    このキットはUSBでPCと接続するマザーボードとコントローラチップが搭載された、ドーターボード(3枚)で構成されています。  マザーボードは16V~20Vの電源を使用して、モータコントローラチップに供給する、12V系の可変電源回路があり、PCのプログラムのGUIを使用して、実験的に制御する事が出来ます。  さらに電源電流や回転数もPCで表示出来る様になっている優れものです。 実際に繋いで動作させて見ましたが、回転数などが時系列で変化している状況をグラフ表示していました。残念ですが著作権等の問題があるので、それらを掲示するのは控えます。

実機テストの準備

 ドーターボード上の部品は電源のデカップリングキャパシター2個とロジック制御電源(内蔵LDOの出力)平滑用のキャパシタおよびFGO出力のプルアップ抵抗しかありません。 このプルアップ抵抗はFGO出力を取り出すための物なので、FGO出力を使わない構成では不要となります。結果、duty 100%で使用する機器の場合にはキャパシタンス3個で構成できます。  実機テストの準備として、小基板に2.54㎜ピッチのソケットを取り付け、電源供給をする様に組み上げました。 このモックアップを使用して、モータを回して見ました。実験はモーターを無負荷状態でかつコントローラのPWM duty=100%の状態で行いましたが、起動がスムーズに行かない事が判明しました。モーターに適度な負荷を付けないとベクトル制御と同様に安定動作は難しいと思われます。

モータについて

 実験用にテキサスインスツールメント社のDRV10983およびDRV10975の評価キットに付随していたモータを使用しました。モータの外観を右に示します。外観形状からこのモータはファン用モータと思われます。 DRV10983は12V-2Aの駆動能力があるので、このモータの能力もそのレンジと考えます。 擬似負荷の製作  右の写真は実験用に製作した擬似負荷です。Solidworksで設計し、手持ちの3Dプリンタで製作しました。小さいものから作成し、回転数と電源電流を観測しながら徐々に大きくして行きました。一番大きいタイプで12V-1.3A位の負荷に成りました。かなり、アバウトな実験ですが、モータの製造バラツキ等を考えれば、初期評価としては十分と考えています。

評価結果

 MCP8063はセンサレスの為、起動は強制転流によって行う。この強制転流は矩形波駆動である。回転が始まると直ぐに正弦波駆動に切り替わる。以下に起動時の相電流波形のグラフを示す。



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